木魚の取り扱いについて
木魚は急な乾燥などで湿度が下がると、割れる可能性があります。
エアコン等の空気の温度・湿度を調整する際は、その風が木魚に直接当たると割れる可能性がありますので避けるようにしてください。また、直射日光などが当たる場合も割れることがあります。ですので、お使いにならないときは布などを被せたり、箱にしまったりして日の当たらないなるべく温度・湿度が一定になるところで保管すると良いです。
もし木魚が割れてしまったり、傷つけてしまった場合でも修理をする事も出来ますので、お近くの専門店に問い合せてみてください。
※状態によっては直らない場合もあります。
彩色について 繧繝彩色
繧繝彩色(うんげんさいしき)とは色の濃淡を順に組み合わせて立体感や彩色の華やかさを表現する古典と記な彩色技法です。仏教絵画や仏像の彩色、寺院建造物の装飾などに取り入れられています。起源は古く唐代の中国大陸と言われ、現在でも日本をはじめ韓国やチベットの寺院など多くの仏教美術に見ることができます。
日本では仏教将来とともに伝わり、寺院や仏像仏具に彩色例が多く知られています。平安時代には代表的な装飾模様として進化し、建物内陣を繧繝彩色で装飾した平等院鳳凰堂などが代表的な作例として知られます。現在の我々が見るとやや華美過ぎと感じるほどですが、当時巷には鮮やかな色の存在は少なく、日常と全く異なる天上界極楽浄土の世界を色で得現したのではないかとも思えます。
現在でも一部の神社仏閣の装飾や仏具の彩色には繧繝彩色が施されています。また彩色仏像の模様にも多様に取り入れられ、宝相華や唐草、雲など多様にアレンジされています。
彩色技法
技法としては薄い(白い)色から順に濃い色を重ね、グラデーションを作ります。古代では絵の具や顔料の色数も限られ、少ない色を組み合わせて多様で華やかな表現を可能としました。例えば赤系統の色に緑色や青色を組み合わせると補色関係から落ち着かない配色となりますが、繧繝の技法を使って組み合わせるとことで落ち着き華麗さを表現することができます。
1.輪郭を書き起こします(実際の彩色作業においては輪郭線などの下描きはしない事が多い)
2.輪郭線に沿って薄い色から濃い色を順に塗る
3.輪郭線と重ねられた色の巾を微調整して完成
木魚について
この仏ログではこれから尾張仏具が製作している仏具や神具などを案内していきたいと思っております。
まず最初の仏具は、国内では尾張地域だけで製造されている仏具のひとつ、木魚について説明していきたいと思います。
楠の木の木魚と桑の木の木魚
画像の白っぽい色の木魚は楠の木の材料で作られた木魚です。そして黒っぽい色の木魚は桑の木の材料で作られた木魚です。また画像の木魚で彫りが少ないものが名古屋彫り、彫りが多く龍の頭の形がわかるものが龍彫りになります。
多少の違いはありますが桑の木は楠の木よりもかたい材料がとれます。木魚の音はかたい物ほど音が高くなる傾向があり、また大きさが大きくなるほど低くなる傾向があります。いずれも木の育成状態により材質は変わりますので必ずしも同じ結果になりとはかぎりません。
木魚の作り方から木魚の中の刳り抜き方
画像の道具は木魚の中を刳り抜くさいに用いられます。木魚の左右の穴を覗き。位置を確認しながら穴に長い首のノミの刃先を入れて刳り抜いていきます。
木魚の工程の過程
原木から形を大まかに切り、次にそのかたまりをさらに整えていきます。そして取っ手の様な部分を大まかに彫り出していきます。次に穴を作るため、切れ込みを入れていきます。そして彫刻を施して音の調整をし、つや出しをして完成です。
そのあと色を付ける場合は、先ほどの工程のうち最後の彫刻を施してから磨き、目的の色になるように塗装などを施します。最後に音の調整をし、つやを出して完成です。
木魚の制作風景
画像は木魚の製作のものです。両手はもちろん両足も立派な道具になります。ノミをたたき易くなるよう足で角度や向きを調整したり、動かないよう固定することに使います。
このような作業に入る前には乾燥期間もあり、ひとつの木魚を仕上げるのに数年から、大きいものでは数十年乾燥させてから製作します。
このように木魚作りは長い年月と尾張仏具の職人の確かな技術によって製造されています。