2021.3.19

彩色について 繧繝彩色

繧繝彩色(うんげんさいしき)とは色の濃淡を順に組み合わせて立体感や彩色の華やかさを表現する古典と記な彩色技法です。仏教絵画や仏像の彩色、寺院建造物の装飾などに取り入れられています。起源は古く唐代の中国大陸と言われ、現在でも日本をはじめ韓国やチベットの寺院など多くの仏教美術に見ることができます。

日本では仏教将来とともに伝わり、寺院や仏像仏具に彩色例が多く知られています。平安時代には代表的な装飾模様として進化し、建物内陣を繧繝彩色で装飾した平等院鳳凰堂などが代表的な作例として知られます。現在の我々が見るとやや華美過ぎと感じるほどですが、当時巷には鮮やかな色の存在は少なく、日常と全く異なる天上界極楽浄土の世界を色で得現したのではないかとも思えます。

現在でも一部の神社仏閣の装飾や仏具の彩色には繧繝彩色が施されています。また彩色仏像の模様にも多様に取り入れられ、宝相華や唐草、雲など多様にアレンジされています。

彩色技法

技法としては薄い(白い)色から順に濃い色を重ね、グラデーションを作ります。古代では絵の具や顔料の色数も限られ、少ない色を組み合わせて多様で華やかな表現を可能としました。例えば赤系統の色に緑色や青色を組み合わせると補色関係から落ち着かない配色となりますが、繧繝の技法を使って組み合わせるとことで落ち着き華麗さを表現することができます。

1.輪郭を書き起こします(実際の彩色作業においては輪郭線などの下描きはしない事が多い)

2.輪郭線に沿って薄い色から濃い色を順に塗る

3.輪郭線と重ねられた色の巾を微調整して完成