2020.6.5

木魚について

この仏ログではこれから尾張仏具が製作している仏具や神具などを案内していきたいと思っております。

まず最初の仏具は、国内では尾張地域だけで製造されている仏具のひとつ、木魚について説明していきたいと思います。

楠の木の木魚と桑の木の木魚

 画像の白っぽい色の木魚は楠の木の材料で作られた木魚です。そして黒っぽい色の木魚は桑の木の材料で作られた木魚です。また画像の木魚で彫りが少ないものが名古屋彫り、彫りが多く龍の頭の形がわかるものが龍彫りになります。

 多少の違いはありますが桑の木は楠の木よりもかたい材料がとれます。木魚の音はかたい物ほど音が高くなる傾向があり、また大きさが大きくなるほど低くなる傾向があります。いずれも木の育成状態により材質は変わりますので必ずしも同じ結果になりとはかぎりません。

木魚の作り方から木魚の中の刳り抜き方

 画像の道具は木魚の中を刳り抜くさいに用いられます。木魚の左右の穴を覗き。位置を確認しながら穴に長い首のノミの刃先を入れて刳り抜いていきます。

木魚の工程の過程

 原木から形を大まかに切り、次にそのかたまりをさらに整えていきます。そして取っ手の様な部分を大まかに彫り出していきます。次に穴を作るため、切れ込みを入れていきます。そして彫刻を施して音の調整をし、つや出しをして完成です。

 そのあと色を付ける場合は、先ほどの工程のうち最後の彫刻を施してから磨き、目的の色になるように塗装などを施します。最後に音の調整をし、つやを出して完成です。

木魚の制作風景

 画像は木魚の製作のものです。両手はもちろん両足も立派な道具になります。ノミをたたき易くなるよう足で角度や向きを調整したり、動かないよう固定することに使います。       

 このような作業に入る前には乾燥期間もあり、ひとつの木魚を仕上げるのに数年から、大きいものでは数十年乾燥させてから製作します。

 このように木魚作りは長い年月と尾張仏具の職人の確かな技術によって製造されています。